武道で必要な要素を一眼二足三胆四力などといいます。
私たちが得る五感情報の内、7割は視力から得られるものと言われています。
この目の使い方、目付は非常に大切な項目です。
視覚とは中心視と周辺視があります。中心視は視野の中心部一番フォーカスの合うところです。すなわち攻撃の核になる部分です。切っ先や刃筋の部分です。
第1ステップ 中心視を鍛える
部分を瞬間でとらえるトレーニングを積むことです。短い時間で攻撃の軌跡を読む動作です。軌跡の一点を捉える練習をします。この点でとらえることが一刀流の切り落の基本になります。
第2ステップ 周辺視を鍛える
全体を見る力です。視野を広く見る力です。柳生流では「偸眼」(うがん)と呼んでいるようです。焦点を合わさず見るようにトレーニングします。切っ先の先端に焦点を合わせ全体を俯瞰するトレニーングです。
第3ステップ 2つの目付
中心視と周辺視を同時に行うことです。2つの目付を行います。一点を見ながら全体を俯瞰します。武蔵の言う「顔はうつむかず、仰向かず、ゆがめず、目を動かさず、額にしわを寄せず、眉の間にしわを寄せて目の玉を動かさないようにして目を細めにする」これは全くその通りです。遠山の目付です。
第4ステップ 境に従う
見るでもなく見ないでもなく。その時の状態に応じながらそれにとらわれないという世界が考えられます。「観の目つよく、見の目よわく、遠き所を近く見、近き所を遠く見ること」これさえもとらわれず境に応じて。
目付は非常に大事な武道要素です。一朝一夕ではできません。日頃から意識して修練してまいりましょう。
5月17日(日)に両国道場開きを行いました。
国技館の隣にある安田庭園に接するところにあります。東京江戸博物館も近く、スカイツリーもまじかに見ることができます。生涯の場所としてこの地を選びました。
まず最初に、氏神様である牛島神社のご神職による神事が執り行われました。
道場の安全祈願・武道上達・流派の興隆・また地域の地鎮繁栄と願いは尽きません。
奉納演武として 浄の太刀 を奉納いたしました。
7日間に渡り、大小の真剣の切っ先を北東の方角に安置します。鬼門封じです。
今回はこの日のために打った大太刀 梵天。
小太刀は大東流の宝刀西郷頼母が愛刀 蟠龍 を使わせていただきました。
三十数年前本部道場真武館の道場開きに、師大森曹玄老大師が浄めの居合を演武されたのを懐かしく思い起こします。
続いて 表剣三重 を演武奉納いたしました。
祭事の初めに行われる儀式太刀ですが、戦国刀法の色合いを多く残した貴重なものです。
露の位、盤鐘の位、石火の位を表します。
大東流合気柔術としては本部門下生の皆様に日頃の技の成果をご披露いただきました。大東流の技法の術理をご理解いただけるよう 剣と柔術 で剣技と合気柔術の理合を表現いたしました。
大東流の特徴的技法 合気 の基本形を演武させていただきました。
最後に多人数捕りの中から 二人捕・四人捕 を奉納させていただきました。
近藤勝之大東流本部長、安屋谷道場館長田中威勢夫先生はじめ多くの道場関係者に列席をいただきました。感謝に堪えません。ありがとうございます。
大東流合気柔術の師である武田時宗先生、小野派一刀流の宗家である笹森順造先生、禅の師である大森曹玄老大師の霊位に対して、お育ていただいた感謝を申し上げると共に、報恩を奏じて当流の発展興隆を誓います。
4月11日に浅草第33回日本古武道大会が台東リーバーサイドスポーツセンターにおいて行われました。
日本古武道振興会が主催するもので毎年の恒例になっています。大東流合気柔術の代表として演武してまいりました。
この大会は開会前に特別演武があります。今年は香取神道流。兵法三大源流の一つで古流を代表する剣術を中心とした総合武術です。いろいろな大会で必ずご一緒させていただきますが、解説を聞いたのは今回が初めてのことです。
組太刀に隠された秘密、小太刀の間、右足・左足の使い方、巻き打ちの原理、鎧甲冑の弱点等。多項目につきご指導をいただきました。解説いただいた内容の素晴らしさはもちろんですが、刀筋の正確さ、構えの美しさは舌を巻くばかりです。
素晴らしいものを見せていただいた幸せな一日でした。飯篠先生・大竹先生・京増先生ありがとうございました。
感謝。
この一点にすべてのエネルギーを集中させることをトレーニングする必要があります。
剣で言えば剣先の一点にエネルギーを集められるかです。
指先の一点に意識を集中できるかです。
剣先意・剣先先・剣先威と言われています。
剣先意
剣先に神経を通わす
食事をとるのに箸に力を入れる人はいません。無意識にお箸を持ちます。
作用点は箸先だけです。剣先、手刀、指先に意識をします。
その他は脱力します。これは意識と数のトレーニングが必要になります。
剣先先
動きは剣先から手刀から指先からです。末梢から先に動きます。
これができると、いわゆる枕を抑えるということができるようになります。剣先が利くようになるのです。先の先が利くようになります。
剣先威
剣先に意があり威がつくのです。
太刀に風格が出ます。技に重みが出ます。この剣先威から剣先を超えたところに威が出るのを昔から剣先から火が出る、輪がでると言っているのです。
まずは脱力を意識して対象点(剣先・手刀・指先)をしっかり見る。そこに意を込める。そしてゆっくりそこを動かす。太刀がない意識で剣先に集中。腕がない意識で手刀や指先に集中。技が力から気に変わる良い方法です。試してみましょう。
2月8日日本武道館において第38回の日本古武道演武大会が開催されました。この大会は(公財)日本武道館・日本古武道協会が主催する大会で古武道の大会で一番大きなものです。各流派の宗家並びにその後継者が演武するものです。
大会への初めての参加は第2回の大会です。先師武田時宗宗家と共に日本武道館の上に立たせていただきました。36年前のことです。緊張に足が震え、失敗したら腹切りものだと、必死の形相で壇上に上がったことが思い起こされます。宗家が大衆の前で5人捕りを披露されたのは初めてのことです。当時多くの反響を生むことになりました。
流派の粋を集めた大会であることは事実です。今回も35流派の演武を見ることが出来大変勉強になりました。古流ですから型を重視し、同じことの繰り返しのようですが、毎年工夫改善を加えているのがわかります。また控室等で他流の先生方とお話しできることも無上の喜びの一つです。長らく武道をされている先生方の話は参考になることばかりです。
今年の大会はうれしいことがありました。懇意にしていただいている起倒流の井上彰二先生、荒木流拳法の菊池邦光先生に古武道功労者表彰が授与されたことです。両先生おめでとうございます。誠に喜ばしいことです。